まさかの敗戦 | 本光寺住職のダラブログ

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これからのお寺は変わらなければ。「人間ダラといわれて一人前」を掲げる住職の、御門徒さんとのふれあいブログ、略して「ダラブロ」


この夏の高校野球石川大会決勝戦で、小松大谷は前代未聞の土壇場での逆転負けで、目前にあった甲子園の切符を逃してしまいました。ところが、この試合結果がテレビなどで報道されるや否や、地元は言うに及ばず、相手が有名な松井秀喜や本田圭佑の母校ということもあって、直ちに全国に、世界中に知れわたり大変な話題になりました。


私にも会う人が皆それぞれ、まさかの敗戦にその無念の思いを話し掛けて下さいました。その中で特に印象に残っている言葉に、本光寺責任役員の田中稔氏が「この試合は、正に人生そのものといえるね。改めて学ばせてもらった」と感慨深げに言われたことです。成程、言われてみれば日々体調も好不調は付き物ですし、好調な時でも油断はできません。それは仕事上の事でもいえることで充分気を付けなければいけません。


この<まさか>は何時でも起り得ます。2011年の東日本大震災でも、それまで安全神話だった原発が取り返しのつかない汚染事故を起こしたことや、2008年のリーマン・ショックでは、米国大手証券会社リーマン・ブラザーズは「大きすぎて潰せない」と楽観視されていたが、結局、会社は経営破綻し金融恐慌を起こし、世界不況の引き金にもなったことも、多くの人がこの<まさか>の思いを新たにしたのではないでしょうか。この<まさか>が起きた時、誰もが後悔と絶望感で落ち込んでしまいます。


大谷高校の野球部員も試合後はそのような状態でした。私は球場からバスで子供たちと一緒に帰って来たのですが、車中では声を出して泣きじゃくる子が多くいて、菊池信行前監督がこの重苦しい空気を変えようと「お前たちな、こういう結果になったけど、試合に負けたからって泣くもんじゃない。泣くなら練習で泣け。負けた責任はお前たちにはないんだぞ。選手を起用した監督にあるんだ。でも、石川県で2番になったんだから、本光寺に着いてバスから降りたら下を向くな、胸を張って堂々と歩くんだぞ」と、心を込めて力強く言い聞かせました。


寺に着くと境内には一杯の人だかりで溢れ、子供たちの歩く姿を見て幾人もが「よくやった!おめでとう!」と大きな声で祝福して下さり、多くの人たちが温かく迎えて下さいました。子供たちは人垣の中を歩いて、本堂に入り、主将が阿弥陀様に準優勝の奉告をし、お礼を述べました。その後、多くの人たちが待つ、境内の広場で竹村信一小松市副市長が選手たちに向かって、自ら目に涙を浮かべながら感動的な言葉で労って頂きました。


私はこの時、あのまま家に帰さず、ここに連れて来てよかったとつくづく思いました。この敗戦を経験した子供たちにとって、これからの彼らの人生に良い教訓とならんことを願って止みません。


住職の口癖 謙遜も過ぎるとイヤミだ。



 ※ 以上の記事に関しては、8月20日北國新聞朝刊掲載の「高校野球石川県大会決勝の教訓」と題して、多田眞氏(学校法人北陸大谷学園理事長、本光寺住職)の記事より抜粋いたしました。




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